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ハドロンの弦理論

1950年代はじめにレッジェは、ハドロンの散乱実験において、共鳴状態の静止質量の2乗とスピンとの間に直線関係があることを見出した(レッジェ軌道)。1968年にヴェネツィアーノは、レッジェ軌道を説明するための共鳴モデルを発表したが、それにはsチャンネルとtチャンネルという二通りの記述が可能であった。しかし、その双対性の物理的な意味は不明であった。

1970年に発表された南部?後藤によるハドロンの弦理論は、このsチャンネルとtチャンネルの双対性を説明可能なモデルとして登場した。この理論では、長さ10-15mオーダーの一次元の弦が回転、振動しており、モード、エネルギーの異なる弦の運動が、それぞれ異なるハドロン粒子として観察される。また、上記のsチャンネルとtチャンネルはトポロジー的に同一のものと見なす事ができる。

南部はブルーバックスにおいて、一般にもわかりやすい説明を行っている。それによると、1964年にゲルマンとツワイクによって提唱されたクォークは、点としての粒子ではなく、弦(ひも)の端部に相当するとみなす。ハドロンは3個(バリオン)または2個(メソン)のクォークから構成されていると考えられているが、ハドロンから単体のクォークを分離する事はできない(クォークの閉じ込め)。弦理論によってこれを定性的に説明可能である。仮に弦(ひも)を切断する事ができたにせよ、「弦(ひも)の先端」を単独で取り出す事は不可能であり、切断された弦(ひも)にはいつまでも端部が存在する。

しかし、ハドロンの弦理論は様々な欠陥を含んでいた。まず、弦の運動が安定して維持可能な時空は26次元に限られていた。また、弦のスピンは整数であり、ハドロンの理論にもかかわらずボソン的な性質を有していた。この他に閉じた弦の振動の種類には重力子や、理論の不安定性を表すタキオンの存在が要請された。
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これらの欠陥が判明し出した頃に、ゲージ場の粒子であるグルーオンによって力が媒介されるとする量子色力学の発展が始まり、強い相互作用の特性を正確に記述できることがわかってきた。南部はクォークの閉じ込めについて、弦をいくら切断しても端部を取り出せず、新たな端を形成するだけとイメージした。これに対して、量子色力学においては、二つのクォークが引き離されると、単純にそれ以上引き離すよりも、その間の真空から新たにクォークと反クォークの対を生成し、新たな2個のクォークにより構成される粒子になる方が、必要なエネルギーが低いと考える。

このため、ほとんどの研究者が弦理論から撤退していった。現在ではハドロンの弦理論は、クォーク間のゲージ場の力線を半定量的に表現した現象論的模型と考えられている。

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2009年06月13日 09:41に投稿されたエントリーのページです。

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